【65Wなのに遅い?】充電器で私が先に見る数字

店頭で、こんなご相談をいただきました。

「65Wの充電器を買ったのに、スマホの充電が速くない気がするんです」

見せていただくと、充電器はたしかに65W対応。ただし小さな文字で「1ポート使用時65W、2ポート使用時は45W+20W」と書いてありました。

ケーブルも、かなり前から使っている細いUSB-Cケーブルでした。

大きく書かれたワット数だけでは、充電の速さは決まりません。

ワットは「出せる力」の目安です

充電器の表示には、こんな数字が並んでいます。

5V 3A。

9V 3A。

20V 3.25A。

Vはボルト。電気を押し出す力です。

Aはアンペア。流れる電気の量です。

Wはワット。VとAを掛けた数字です。

たとえば20V 3.25Aなら65Wです。

ここで間違えやすいのが、「65Wの充電器なら、スマホも65Wで充電される」と思ってしまうことです。

スマホ側にも受け取れる上限があります。iPhoneなら20W台で十分な場面が多いですし、Androidは機種ごとに25W、30W、45Wなど差があります。

受け取れない分は、速くなりません。

USB-Cでも中身が違います

最近の急速充電では、USB PDという規格をよく見ます。USB-C充電器で使われる急速充電の仕組みです。

AndroidではPPSという表示もあります。電圧や電流を細かく調整して、スマホに合わせて充電する仕組みです。

つまり、差し込み口が同じでも、充電器とスマホの相性があります。

Galaxyなど一部のAndroidでは、45W充電対応と書かれていても、PPS対応の充電器と対応ケーブルがないと本来の速さが出ないことがあります。

iPhone 15以降のUSB-Cモデルも同じです。USB-Cなら何でも急速充電、という話ではありません。

ケーブルが原因のこともあります

店頭で見ていると、充電器は新しいのにケーブルだけ昔のまま、というケースがあります。

見た目は同じUSB-Cでも、中身は違います。

60Wまでのケーブル。

100Wまでのケーブル。

充電中心のケーブル。

データ転送も速いケーブル。

スマホだけなら、何本も高いケーブルをそろえる必要はないと思っています。私なら、普段よく使う1本だけ、きちんとしたものを選びます。

見た目が同じでも、できることは同じではないんです。

パソコン用は電圧を特に見ます

ここは、スマホより慎重に見ます。

USB-Cのパソコンは、USB PDで本体と充電器がやり取りをして、必要な電圧を選ぶ仕組みがあります。だから対応している充電器なら、比較的安心して使いやすいです。

ただ、丸い差し込み口のACアダプターは別です。

19V指定のパソコンに、20Vのアダプターを挿す。

19.5V指定のパソコンに、別メーカーの似た端子を挿す。

端子の形だけ見て、極性を確認しない。

これは本当にやめた方がいいです。

「1Vくらいなら平気そう」と思うかもしれません。でもパソコンの中の基板は、その電圧に合わせて作られています。

高い電圧が入ると、充電回路や電源まわりの部品に負担がかかります。熱を持ったり、保護回路が間に合わなかったりすると、基板側が傷むことがあります。

基板が壊れると、アダプター交換だけでは済みません。電源が入らない、充電ランプがつかない、修理代が高くなる。そういう状態を実際に見てきました。

パソコン用の充電器は、Wだけでなく、V、A、端子の形、極性を見ます。

私は売り場でも修理の受付でも、大きな「65W」より先に、裏側の小さな数字を見ています。そこに、だいたい答えが書いてあるからです。

買う前より、買った後。充電器選びでも、結局そこに戻ってくる気がします。

パソコン・スマホのことで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。